株価は経済状況や政治状況、また株で利益を得ようとする投資家の思惑など様々な要因が絡み合って変動するので、株価動向を予測することは極めて難しいものです。だからと言って、投資初心者でも株価を左右する周辺情勢について無頓着で良いと言うことにはなりません。やはり基本となる政治・経済の動きについてフォローし、株価への影響を学ぶことは大切です。

 今年8月から9月に経済情勢と政治情勢が株価暴落の要因となった顕著な事象があったので振り返ってみましょう。

 3ヶ月前の8月5日の日経平均株価は、3万5千円台から4千円以上も値下がりしました。1日での下落幅としては、過去最大でした。この端緒になったのが、8月2日に発表されたアメリカの雇用統計と言われています。市場の予想を下回る結果で、アメリカの景気減速への懸念が広がり、ニューヨーク市場で株価が下落し、東京市場へも波及しました。もう1つの要因が、同時期の日本の金利引き上げです。7月末、日銀が利上げに踏み切り、また会見で日銀総裁がさらなる利上げに言及しました。金利の引き上げによって、一般的には物価の上昇は押さえられ、景気は減速傾向となります。また、為替は1ドル=152円台から8月5日には1ドル=141円台まで値上がりしました。円高が進んだことで、日本の輸出企業などの業績にはマイナスとなり、一段の株安を招きました。

 次は、政治情勢が影響した事象です。9月27日の自民党総裁選挙の決選投票で、石破氏が新総裁に決まると、週明けの9月30日に株価は3万9千円台から2千円以上下落しました。また為替も1ドル146円台で推移していた為替は、一気に1ドル143円台まで円高が進みました。ニュースでは27日の市場の動きを「石破ショック」とも呼んでいます。総裁選の最中、また総裁に選ばれた直後の発言では、アベノミクスに否定的で、これまで続けてきた金融緩和政策が変更される懸念があり、積極財政よりも緊縮財政で財政再建を重視、法人税の引き上げや金融所得課税導入など増税へも言及がありました。積極財政を訴えていた高市氏が総裁に選出されることを予測していた市場では、大きなマイナスと捉えられ、株価の急落の端緒となりました。その後、「今は金利を引き上げる状況にない」と発言し、金融緩和継続の方向へ方針転換されたようで株価は回復に向かいました。

 ここで注意すべきはメディア報道です。株価が急落の機会を捉え、つみたてNISAを始めたような投資初心者を含め個人の損失に注目したニュースを流し不安を煽る報道が続きました。日頃から、政治・経済情勢をフォローしてこのような報道に慌てないようにすることが大事です。

 これから年末・年始に向けて、日米共に新しいトップの下での金融・経済政策が注目されます。やはり、日本の金利引き上げがいつ行われるかは気になります。ぼすことをおさえておきましょう。