最近、SNS上で著名人や証券会社の名を騙る投資詐欺が横行しているようです。投資を始めたばかりの人は、少しばかり利益が出てくるともっと儲かろうと欲が出てくるのが人情ですから、このような詐欺には十分注意が必要です。私が証券会社に勤めていた頃、駐屯地を訪れると、隊員から「なんかローリスク・ハイリターンの商品があるらしいですね」との質問がありました。出た!金融都市伝説と思いつつ、「そのような商品があれば、みんな買うでしょう。」と言うと、「いやいや、なんか特定の人達にだけ情報が行っているらしい。もし、知っていたら教えて欲しい。」と食い下がってくる。こりゃダメだと思い、原理原則から説明したことがあります。

 そもそも、金融におけるリスクというのは、ある見通しに対する振れ幅のことで、望ましい方向への振れもリスクと言います。リスクが大きければ、プラスのリターン及びマイナスのリターンの幅も大きくなります。逆にリスクが小さければ、プラス・マイナスの幅は小さくなります。従って、ローリスクでハイリターンの商品はありません。

 資産クラスでいうと、一般的に預貯金が最もリスクが小さく、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の順で大きくなっていきます。

 また、「ここだけの話です。絶対儲かる。」と言う言葉に騙されてしまったという事件が時々ニュースになりますが、このような言葉を使うことは、金融商品取引法という法律によっても禁止されています。金融商品を取り扱う業者は、顧客の知識や経験、資産状況、購入目的等を確認したうえで、顧客に合った商品をすすめることが義務づけられています。例えば、投資知識や経験が全くない人に、そのことを知りながら、ハイリスク型の投資信託をすすめることなども禁止されているのです。更に次のような行為も禁止されています。

  • 真実ではないことを言って購入をすすめること
  • 「必ず上がります」とか「絶対に○○になる」と断定すること
  • 上記を思わせるような表現を使って購入を誘うこと
  • 頼んでもいないのに自宅や勤務先に押しかけてきたり、電話をかけてきて、取引を勧誘すること
  • 「いりません」とはっきり断ったのに、しつこく取引を勧誘すること

 投資において「絶対儲かる」という意味合いの事を言う人を信用しては駄目です。投資は、自分のお金です。勧められる投資方法が納得できない、気が進まない場合は、何度勧誘を受けたとしてもきっぱり断りましょう。