前人未到の「少子高齢化社会」到来

平均寿命が延び、「長寿大国」へ

    今回と次回で、「人生100年時代」の現状と将来、そしてそれが意味することを解き明かしておこう。
    例年、9月の「敬老の日」になると、65歳以上の高齢者に関する話題がニュースになる。今年は、「65歳以上が前年より22万人増え、過去最多の3640万人に達した。総人口に占める割合は29・1%であり、先進国で断トツの1位、2040年には35・3%までなる見込み。高齢者のうち4人に1人が働いていることがわかった」とあった。
    日本人の令和2年の「平均寿命」は、男性が81・64年、女性が87・74歳であり、年々伸び続け、男性は85歳に近づき、女性は90歳を越える。当然、「平均余命」はもっと長い。
    これらはあくまで平均値なので、おおむね半数の人がもっと長生きする。それを実証するように、現在、8万6500人ほどおられる100歳以上の人が、2050年には68万人に達すると見積もられている。日本は文字通り「人生100年時代」、つまり「長寿大国」に近づきつつある。

出生率が低下し、人口減少へ

    本来、おめでたいはずの長寿大国は手放しでは喜べない部分がある。その原因は、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」が近年低下傾向にあり、令和2年は、コロナ過の影響もあって前年より0.02ポイント低い1.34まで落ち込み、出生数も84万832人と過去最少となった。出生率は、今後益々低下すると見積もられている。
    これらから、我が国の人口推移は表のとおり、2008年をピークに減少傾向にあり、2050年までに1億人を切る。同時に、15歳~64歳の生産年齢人口も減少し、逆に高齢化率が高まることから、まさに前人未到の「少子高齢化社会」を迎えることになる。
    しかもこの現象は遠い将来のことではなく、すでに始まっている。「少子高齢化」には様々な問題が内在しているが、その最大の問題は「社会の支え合い構造」が変化することであろう。細部は次回取り上げよう。

「退職自衛官の再就職を応援する会」について

    前回、ホームページの案内のみに終っていた当会は、「生涯自衛隊ファミリー」を目指し、現役、OB問わず自衛官の人生に寄り添うことを活動の主眼とするOB有志によるボランテイア組織の名称です。現在、陸海空OBなど約10名が活動していますが、趣旨に賛同し、志のある者はだれでも入会し、活動できます。
    様々な制約のある既存の援護組織の周辺で、自衛官の再就職や再々就職を様々な形で応援しています。本シリーズの執筆もその活動の一環として実施しています。