『そもそも自衛官が、お金の事をとやかく言うのはみっともない。』
『退職後も国が面倒見るべきだし、現に退職金も年金もある。大丈夫じゃないの。』
『投資!?要は博打だろ。大損したらどうする?』
筆者が退職前に思っていたことです。
 ところが、退職後の環境は全く違ったものでした。
『退職した途端、全くただの人。お金のことも自分で考えないと誰も助けてくれない。』
『貯金じゃお金は増えないし、どうする?』
『投資と投機、全然違うじゃないか。もうちょっと勉強しときゃ良かった。』
 少子高齢化の中、年金受給開始年齢は年々引き上げられています。年金額は「マクロ経済スライド」といって、物価が上昇しても同じ比率では増額されません。物価が上昇すれば、年金は実質的に目減りしていきます。更に2015年には共済年金と厚生年金が一元化されました。自衛官を特別扱いするどころか一般の会社員と同じ年金制度になってしまいました。
 預貯金金利は、1990年初頭までは、概ね4%以上ありました。退職金を10年預けておけば1.5倍、20年預ければ2倍以上になったのです。今は1000万円を10年預けても僅か3万円程度の利子しかありません。更に政府が目標としている物価上昇率年2%が達成されると現在1000万円の価値の物が、10年後には約1200万円になります。退職金は確実に目減りしていきます。『退職金と年金で大丈夫?本当に~?かなり不安!!』が今の心境です。
 政府は、個人投資を促進させるためイデコやNISA制度を整備しました。イデコの根拠法である確定拠出年金法の目的には「国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援」とあります。要するに、公的年金の目減りが予想される中、老後資金確保のためこの制度を利用して自助努力してください。ということです。
 イデコやNISA制度は積立投資を基本としています。コツコツ時間をかけて投資することによりリスクを軽減することができ出来ます。短期間で大儲けを狙う投機や博打とは全く違います。『少し勉強しときゃ良かった。少額でも積立投資ぐらいやっとけば良かった。』というのが本音です。
 政府は、投資に必要な金融教育の推進にも力を入れています。順次学習指導要領が改訂され、中学校では2021年度から、高校でも2022年度から、基礎的な金融や資産形成に関する授業が開始されました。もはや、お金のこともしっかり勉強する時代になったのです。人生100年時代、心と体とお金の健康が重要です。お金についても心と体と同様に気も使いましょう。
 次回は、政府が所得倍増計画の柱として位置づける新NISA(来年1月から開始)について、紹介します。